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司法書士法人・行政書士事務所リーガル・ソリューションは、東京都新宿区にある司法書士・行政書士事務所です。

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相続登記の費用はいくらくらい?必要経費と報酬の相場について解説

更新日:2021-10-19
亡くなった父の不動産の名義変更の手続きはいくらくらいかかるの?
自分で手続きした場合と専門家へ依頼した場合でどのくらい費用が変わるの?
司法書士に支払う相続登記の報酬の相場はどのくらい?

この記事はそのような方向けに書いています。

今回は、相続登記にかかる費用を中心に、どの専門家に依頼するか、必要経費と司法書士に依頼した場合の報酬の相場について、司法書士の樋口が解説しています。

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そもそも相続登記とは?

登記済権利証と模型

相続登記とは、一般的に故人が所有していた不動産の名義を相続人名義に変更(登記簿の書き換え)する手続きのことを指します。

相続登記は不動産所在地を管轄する法務局に、所有権移転登記等を申請をすることによって行います。

管轄法務局へ所有権移転登記等の申請を行うと、法務局が書類や登記の内容の審査をし、問題なければ不動産の登記名義が相続人名義に変わります。

登記にかかる時間は管轄法務局によって異なりますが、概ね登記申請日から1週間から2週間ほどで手続きが完了します。

相続登記の手続きは自分で行うことも可能ですが、専門家に報酬(手数料)を支払って代行してもらうことも可能です。

相続登記について詳しく知りたい方は『相続登記とは?亡くなった人の不動産の名義変更について法改正点も含め解説』をご覧ください。

相続登記は誰に依頼する?

ビジネスマンと家

相続手続きの専門家はたくさん挙げられますが、相続登記(不動産登記業務)を代理で手続き出来るのは司法書士と弁護士のみです。

司法書士は、相続登記以外に、戸籍収集(法定相続情報一覧図の取得)、相続関係説明図の作成(例外あり)、遺産分割協議書の作成(例外あり)等、ほとんどの手続きが可能です。

弁護士は、全ての遺産相続の手続きが可能です。

また、遺産相続に関し、相続人間に争いがある場合には、司法書士と違って、相続人と裁判外で交渉したり、遺産分割調停の代理人として裁判手続きが可能です。

そのため、遺産相続で相続人間に争いがある場合には、弁護士にまとめて依頼した方が良いでしょう。

遺産相続手続きの専門家として、他に税理士、行政書士がいますが、税理士は税務申告の代行、戸籍収集(法定相続情報一覧図の取得)、遺産分割協議書の作成(例外あり)が可能です。

行政書士は、相続関係説明図の作成、戸籍収集(法定相続情報一覧図の取得)、遺産分割協議書の作成等が可能です。

下記図表は遺産相続手続きにおける専門家の業務範囲を表したものです。

手続き|専門家 弁護士 司法書士 行政書士 税理士
相続登記
(不動産の名義変更)
× ×
遺産分割協議書の作成 △※1 △※1
戸籍収集
(法定相続情報一覧図の取得)
遺産分割調停の申立書作成 × ×
遺産相続に争いがある場合の相続人との交渉 × × ×
遺産分割調停申立の代理 × × ×
相続関係説明図の作成 △※1 △※1
預貯金の解約・名義変更 ×
株式の移管・解約 ×
相続税の申告 △※2 × ×

(スマホでは右にスクロールできます)

※1 遺産分割協議書の作成のみの依頼、相続関係説明図の作成のみの依頼は不可

※2 弁護士又は弁護士法人が税理士法第51条の規定により、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行う場合
出典:非税理士により行うことが禁止される税理士業務

相続税は、亡くなった方の遺産の総額が最低でも3600万以上ない限り(生前贈与等の例外あり)、原則としてかかりません。

相続税がかからないケースは申告も不要です。

関連記事:放置してもかかる?相続登記(不動産の名義変更)と相続税について解説

そのため専門家に依頼する基準としては、

  • 相続人間で争いがあるか
  • 相続税がかかるような資産を残して亡くなったか
  • 不動産を所有している人が亡くなったかどうか

このような基準で専門家に依頼すると良いでしょう。

相続人間に争いがある場合 弁護士
相続人間に争いがない場合 弁護士、司法書士
相続人間に争いがなく、不動産がない場合 弁護士、司法書士、行政書士
相続人間に争いがあり、相続税の申告が必要な場合 弁護士、税理士
相続人間に争いがなく、相続税の申告が必要な場合 弁護士、司法書士、行政書士、税理士

(スマホでは右にスクロールできます)

それぞれの専門家によって報酬はさまざまですが、一般的には、弁護士>司法書士、税理士>行政書士の順序で報酬が高くなります。

相続登記にかかる費用

コスト

相続登記のみであれば、一般的に司法書士が手続きしますので、ここからは司法書士に相続登記を依頼する場合の費用を解説します。

相続登記にかかる費用は、大きく分けて下記の2つです。

  • 実費代(必要経費)
  • 司法書士へ支払う報酬

上記を合算した金額が司法書士事務所から提示される見積もり金額です。

よっぽど高額な不動産を持っていた等の事情がない限り、相続登記のみ依頼した場合には見積もり総額15万円~30万円程度になることがほとんどでしょう。

実費代(必要経費)

登録免許税

相続登記を法務局へ申請する際には、登録免許税という税金を納める必要があります。

相続登記を自分でやったとしても、登録免許税は必ずかかりますので注意が必要です。

登録免許税の税率は、固定資産評価額の0.4%です。(登録免許税法別表第一一(二)イ)

例えば、固定資産評価額1,000万円の土地を相続人名義にする場合、登録免許税は4万円となります。

登録免許税を納める方法は、2パターンあります。

  • 収入印紙を貼付台紙に貼付
  • 電子納付

電子納付は、インターネットを利用し登記申請をした場合にのみ利用可能です。

実際の登録免許税の金額は、

①.登記申請日時点の年度の不動産の固定資産評価額を合算する
②.合算後1,000円未満の金額を切り捨てる(この金額を課税価格と言います)
③.②の価格に0.4%をかける
④.100円未満を切り捨てる

上記の流れで算出した金額となります。

下記具体例を交えて計算方法を解説します。

【具体例1】
・土地 1筆 申請年度の固定資産評価額 1,000万円
・建物 1戸 申請年度の固定資産評価額    500万円
・土地と建物を相続人名義にする

登録免許税計算の具体例

この場合、土地と建物それぞれを単独で所有している方の名義を相続人名義に変更するため、所有権移転登記という登記申請を行います。

まずは登記申請日時点の年度の固定資産評価額を合算します。

固定資産評価額の合計金額は、土地1,000万円、建物500万円ですので、1,500万円です。

次に、合算後の金額の1,000円未満の金額を切り捨てします。

今回は1,000円未満の金額がないため、1,500万円がそのまま課税価格となります。

その後、課税価格に0.4%をかけます。

1,500万円に0.4%をかけると、6万円になります。

最後に、100円未満の金額があれば切り捨てします。

今回は100円未満の金額がないため、6万円がそのまま登録免許税となります。

司法書士に依頼する場合、見積書の所有権移転登記の項目に記載されている登録免許税又は印紙税と記載されている部分がこの金額となります。

【具体例2】
・土地 1筆 申請年度の固定資産評価額 1,000万円
・私道共有持分4分の1 1筆 申請年度の固定資産評価額 400万円
・建物 1戸 申請年度の固定資産評価額  500万円
・上記の土地建物と私道共有持分4分の1を相続人名義にする

登録免許税計算の具体例

今回は具体例1と違い、私道共有持分4分の1の名義も相続人名義にします。

私道のように近隣住民と不動産を共有している場合には、所有権移転登記とは別に、持分全部移転登記という登記を申請することが一般的です。(所有権移転登記と持分全部移転登記を一括で申請することも可能ですが、法務局は推奨していません)

故人名義の共有持分がある場合には、持分全部移転登記の登録免許税が所有権移転登記の登録免許税とは別にかかります。
(なお、所有権移転登記と持分全部移転登記を一括で申請する場合の登記のことを『所有権移転及び〇〇持分全部移転』といいますが、この登記を申請した場合にも、同様に持分全部移転部分に対し登録免許税がかかります。)

所有権移転登記の登録免許税は、具体例1で説明した通り6万円です。

続いて持分全部移転登記の登録免許税を計算します。

私道部分の申請年度の固定資産評価額は400万円です。

今回は共有持分4分の1を移転しますので、400万円に対し、共有持分4分の1をかけた100万円が課税価格となります。

※ただし、下記要件を満たす場合は例外的に、近傍宅地の1m2単価に私道の地積をかけた金額が全体の固定資産評価額となり、0.3%をかけたあとに、共有持分をかけた金額が課税価格となります。

  • 固定資産評価額の金額が記載されていない場合
  • 登記上の地目が『公衆用道路』の場合

計算した金額に、1,000円未満の金額があれば切り捨てします。

今回は、1,000円未満の金額がないため、100万円がこのまま課税価格となります。

最後に100万円に対し、税率0.4%をかけて、100円未満を切り捨てした金額の4,000円が持分全部移転登記の登録免許税となります。

関連記事:共有持分を相続した場合の相続登記|計算方法や相続人が不存在の場合も解説

(具体例2の計算結果)

登記の目的 登録免許税
所有権移転登記 6万円
持分全部移転登記 4,000円

なお、計算した結果登録免許税の金額が1,000円未満の場合には、登録免許税は1,000円となります。

不動産の名義を共有名義にする場合(法定相続分通りにする場合等)でも登録免許税は変わりません。

遺言書の内容に従って手続きする場合でも、遺産分割協議により法定相続分と異なる割合で登記する場合でも同様です。

ただし、例外的に下記3つの場合には税率が変わりますので注意が必要です。

遺言書に法定相続人以外のものに遺贈する旨の記載がある場合 固定資産評価額の2.0%
市街化調整区域内の土地であってかつ法務局が指定した地域の場合で、
固定資産評価額が10万円以下の場合
非課税
数次相続による相続登記が必要な場合であってかつ、
死亡者名義で登記する必要がある場合
非課税

(スマホでは右にスクロールできます)

関連記事:中間省略できる?数次相続が発生している場合の相続登記について解説

計算した登録免許税額ちょうどの収入印紙を購入し(法務局に印紙売り場が併設されています)、登記申請書の貼付台紙に貼付して納税します。

必要書類収集費用

登録免許税以外の実費代として、相続登記の手続きに必要な書類の収集費用の実費がかかります。

下記は相続登記に必要な書類を表した図表です。

必要書類 法定相続分で登記 遺産分割協議により、
法定相続分と異なる
割合で登記
自筆証書遺言の内容に基づいて登記 公正証書遺言の内容に基づいて登記
被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本、除籍謄本 ※1 △※2 △※2
被相続人の本籍地記載の住民票の除票もしくは除かれた戸籍の附票※3 △※4 △※4 △※4 △※4
法定相続人全員の戸籍謄本 × ×
不動産の登記名義人となる者の住民票もしくは戸籍の附票 〇※5 〇※5 〇※5 〇※5
当該年度の固定資産評価額が分かる書類 △※6 △※6 △※6 △※6
印鑑証明書 × × ×
検認済証明書 × × △※7 ×

(スマホでは右にスクロールできます)

※1 法定相続情報で代替可
※1 数字相続、代襲相続が発生している場合には、その者の出生から亡くなるまでの戸籍謄本等が必要
※2 被相続人の死亡した旨の記載のある戸籍(除籍)謄本、遺言により不動産を取得する相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡後に取得したものに限る)があれば足りる
※3 登記簿上の住所、氏名とつながりがとれるもの
※4 被相続人の登記簿上の住所、氏名と、亡くなった際の本籍地が同一であれば不要
※4 住所のつながりが取れない場合には、被相続人名義の所有権に関する登記済権利証が必要
※5 印鑑証明書でも代替可
※6 法務局によっては不要ですが、登録免許税の計算にいずれにせよ必要なので取得推奨
※7 自筆証書遺言保管制度を利用した場合には不要
※ 法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合には、相続放棄申述受理証明書が必要

被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本、除籍謄本

自治体によって戸籍謄本等の取得費用は変わりますが、概ねどこの市区町村役場でも下記の手数料です。

戸籍謄本 450円
除籍謄本 750円
改製原戸籍謄本 750円

これらは、直接市区町村役場に出向き取得した場合の金額です。

郵送請求をする場合には、これらの手数料を定額小為替で納める必要があります。

定額小為替とは、ゆうちょ銀行が提供する送金、決済サービスの一つで、定額小為替証書にはいくつか種類があり、最大1,000円までの額面のものがあります。

定額小為替を発行するには手数料がかかり、1枚につき100円(消費税込)がかかります。

ただし、2022年2月1日より料金改定が予定されており、定額小為替の発行1枚につき200円(消費税込)に改定されます。

司法書士等に戸籍収集を依頼した際には、司法書士事務所にもよって異なりますが、この定額小為替発行手数料を包含した金額を、実費代として請求する司法書士事務所等が多いです。

相続登記に必要な被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本等は、相続人であれば全て取得可能です。

そのため、戸籍謄本が他の相続人によって勝手にとられたということは、相続が発生すると往々にしてあります。

被相続人の本籍地記載の住民票の除票もしくは除かれた戸籍の附票

相続登記の手続きには、原則として本籍地記載の被相続人の住民票の除票若しくは除かれた戸籍の附票が必要です。

ただし、亡くなった際の被相続人の登記簿上の住所と、亡くなった際の被相続人の本籍地が同一であれば不要です。

こちらも自治体によって異なりますが、概ね下記の金額を手数料として設定している市区町村役場が多いです。

住民票の除票 300円
除かれた戸籍の附票 300円

戸籍謄本等と同様に、郵送請求する場合には定額小為替で手数料を支払う必要があります。

法定相続人全員の戸籍謄本

相続登記の手続きの際には、原則として法定相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。

戸籍謄本発行手数料として、1通につき概ね450円がかかります。

ただし、自筆証書遺言、公正証書遺言を利用して相続登記の申請をする場合には、必ずしも法定相続人全員の戸籍謄本は必要ではありません。

遺言書で手続きする場合には、下記の書類で足ります。

  • 被相続人が亡くなったことがわかる除籍謄本(戸籍謄本)
  • 遺言により不動産を取得する相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡後に取得したものに限る)
法定相続人全員の印鑑証明書

不動産を遺産分割協議書により、法定相続分と異なる割合で取得する場合には、法定相続人全員の印鑑証明書が必要です。

ただし、不動産の名義を取得する方の印鑑証明書は必ずしも必要ではありません。

印鑑証明書の発行手数料についても、自治体によって異なりますが概ね300円前後としている市区町村が多いです。

不動産の当該年度の固定資産評価額が分かる書類

登録免許税を算出するために、登記申請をする年度の固定資産評価額が分かる書類が必要です。

ただし、固定資産評価額がわかる書類は法定添付書類ではないため、管轄する法務局によっては必ずしも添付を求められません。

固定資産評価額が分かる書類としては、下記書類が挙げられます。

  • 固定資産評価証明書
  • 固定資産公課証明書
  • 名寄帳
  • 固定資産税の納税通知書

上記の中で、固定資産税の納税通知書に関しては、被相続人、被相続人が送付先と指定した人、法定相続人の中の代表相続人宛に書類が郵送されているはずです。

そのため固定資産税の納税通知書が手元にないか確認し、もし見当たらなければ最新の年度の固定資産評価証明書等を取得しましょう。

固定資産評価証明書等の取得費用についても、自治体によって料金はまちまちですが、200円から400円ほどに設定していることが多いです。

納税通知書に関しては再発行が可能な自治体もあるため、事前に確認しましょう。

登記簿謄本取得費用

登記簿謄本の取得費用は、原則として不動産1つにつき600円です。

あまり多くははないですが、敷地権化なされていないマンションで、土地の共有者がたくさんいる場合等、登記簿謄本が何十枚となることがあります。

通常であれば数枚で収まることがほとんどですが、登記簿謄本1通の枚数が50枚を超える場合には、超える枚数50枚まで毎100円が手数料として加算されます。

なお、インターネットを利用してオンラインで請求をし、郵送してもらう場合には1通につき500円、インターネットを利用してオンラインで請求をし、法務局に受け取りに行く場合には1通480円となります。

書面で申請する場合 不動産1つにつき600円
オンラインで申請し、郵送してもらう場合 不動産1つにつき500円
オンラインで申請し、法務局に受け取りに行く場合 不動産1つにつき480円

(スマホでは右にスクロールできます)

インターネットで請求するには、電子申請等が必要になります。

そのため、一般の方がインターネットで請求するのは現実的ではありません。

なお、登記簿謄本は厳密に言えば必要な書類ではないですが、取得しておくのが無難です。

理由としては、下記の通りです。

  • 登記申請前に正確な不動産の権利関係や物理的現況を確認するため
  • 登記完了後に無事手続きが完了し、名義が変わったことを確認するため

そのため、司法書士事務所に依頼すると相続登記申請前に一度、相続登記完了後に再度取得します。

一般的な司法書士事務所であれば相続登記申請前の登記簿の確認は、インターネットで確認します。

インターネットで確認できる登記の内容を登記情報といいます。

登記情報を閲覧する場合には、不動産1つにつき332円かかります。

司法書士に依頼した場合であっても、登記完了後は依頼者名義に変わった登記簿謄本を納品する必要があるため、登記情報での確認ではなく、登記簿謄本を司法書士事務所が取得します。

司法書士報酬

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司法書士の報酬は現在自由化されており、司法書士事務所によって報酬基準は異なります。

そのため依頼する事務所によっては極端に安い事務所もあれば、極端に高い事務所もあります。

一般的には、少人数で運営している司法書士事務所の方が低廉で、大規模な事務所であればあるほど高額になる傾向があります。

報酬額については、遺産対象の不動産の評価額に応じて報酬を加算していく司法書士事務所が一般的です。

また相続登記といっても、土地の筆数の多さや死亡者名義での登記の有無(数次相続)、持分移転登記の有無、全国各地に不動産を所有しており法務局の管轄をまたぐ場合等、状況によって手続きや手間が異なります。

また、相続登記手続きの一環として、遺産相続手続きを全て依頼する場合や換価分割に伴う売却手続き、抵当権がついている場合等、相続登記以外の手続きも依頼する場合にはその分報酬が加算されます。

関連記事:抵当権付き不動産を相続したら?必要な手続きと具体的な流れを解説

なお、相続登記の手続きを依頼する場合は、相続人間で合意できているのが前提です。

相続人間で話し合いが出来ておらず、司法書士事務所から相続人宛に意思伝達として手紙を送る必要がある等、特殊な事情がある場合にも報酬が高くなります。

司法書士に頼むといくらかかるのか、手続きの依頼前に登記費用の見積もりを依頼しましょう。

なお依頼前の相談料については、相談料がかかる事務所もあれば、相談料を無料としている事務所もあるので注意が必要です。

名義変更手続き報酬

被相続人から相続人名義へ変更する登記手続きのことを、所有権移転登記といいます。

先述したように報酬は事案によってまちまちですが、一般的な報酬相場としては5万円〜10万円ほどに設定している司法書士事務所が多いです。

被相続人名義の共有持分がある場合には、所有権移転登記とは別に持分全部移転登記が必要です。

持分全部移転登記が必要な場合には、別途報酬を加算する司法書士事務所もあるかと思います。</>

戸籍謄本取得代行報酬(法定相続情報一覧図の写し)

戸籍謄本収集、法定相続情報一覧図の作成、取得、相続関係説明図の作成報酬を、所有権移転登記等の報酬とは別に見積もりする司法書士事務所が一般的です。

報酬は、定額料金の司法書士事務所もあれば、請求する自治体の数、法定相続人の数、数次相続の発生の有無、代襲相続の発生の有無によって基本料金から報酬を加算する司法書士事務所等、事務所によってこちらもまちまちですが、一般的には2万円〜5万円ほどです。

遺産分割協議書作成報酬

遺産分割協議書の作成は、相続登記の手続きと一緒に司法書士に作成を依頼することが可能です。

遺産分割協議により法定相続分と異なる割合で不動産を取得する場合には、遺産分割協議書が必要です。

そのため相続人が1人の場合や、遺言書の内容に基づき登記する場合には、遺産分割協議書は必ずしも作成する必要はなく、その場合は報酬はかかりません。

また遺産相続の手続きを弁護士や税理士、行政書士に依頼している場合に、専門家が作成した遺産分割協議書が手元にある場合には、別途遺産分割協議書を作成する必要がないため報酬はかかりません。

ただし、遺産分割協議書を依頼者が自作したものを確認や添削する場合には、司法書士が1から作成した方が手間もかからず、間違いもないため、自作の遺産分割協議書がある場合であっても、遺産分割協議書作成報酬がかかることもあるかと思います。

相続人全員で合意出来ている場合

不動産のみ記載の遺産分割協議書であれば、報酬相場は1万円から3万円程度です。

不動産以外の遺産についても記載する必要がある場合には、報酬相場は5万円から15万円程度です。

また遺産分割協議書を公正証書化する場合には、上記金額よりさらに報酬がかかることが一般的です。

合意出来ていない場合

法定相続人のうち、まだ遺産相続の話をしていない相続人がいる場合や、相続人調査によって発覚した知らない相続人がいる場合には、一般的に司法書士が相続人に対し、依頼者の意思伝達として手紙を代わりに郵送する事務所が多いです。(なお、相続人間に少しでも紛争性がある場合にはこのような業務は非弁行為になるため、弁護士事務所を紹介されるでしょう。)

このような相続人間の連絡、調整を行う場合には、相続人の数に応じて報酬を加算するという事務所もあるかと思います。

したがって、合意が出来ているケースより報酬は割高になることもあるかと思います。

関連記事:やり直し出来る?遺産分割による相続登記(不動産の名義変更)について解説

費用の負担者

財布からお金を出す男性

相続登記の費用に関しては、特段法律で費用負担者の取り決めはありません。

法定相続等で2人以上の共有名義で取得する場合も同様です。

そのため相続登記の費用負担については、相続人間の話し合いで決定することになります。

遺言書に費用の負担者が定められている場合には、遺言書記載の通りの人が支払うのが望ましいですが、遺産分割協議により遺言書の内容と異なる費用負担者を定めることも問題なく可能です。

ただし、登録免許税を納める主体はあくまで新たに登記名義人となる人ですので、登記名義を取得しない他の相続人が100万円以上の多額の登録免許税を立て替えて支払う場合には、贈与税等の税金がかからぬよう注意が必要です。

参考:国税庁 登録免許税のあらまし

相続登記に期限はある?

カレンダー

相続登記は、従来期限がなく、手続きをしないで故人名義のまま放置されることが多々ありました。

固定資産税に関しても、相続登記をしないでも納税者を相続人名義へ変更することが可能であり、手続きをしていなくても特段罰則がなかったためです。(なお、相続登記をしないでも固定資産税は原則法定相続人に納税義務があります。)

しかし、民法等の一部を改正する法律により、相続登記が義務化されました。

改正法では、一定期間の間に相続登記の手続きをしなければならず、正当な理由なく怠った場合には、最大10万円以下の過料が科されます。

関連記事:相続登記が義務化|義務化された背景やその他の改正についても解説

過料が科される点以外にも、相続登記は出来るだけ速やかに行った方が良いです。

理由としては以下の通りです。

  • 不動産を売却出来ない
  • 不動産を担保提供出来ない
  • 相続人が重度の認知症になった場合、有効な遺産分割協議が出来ない
  • 相続関係が複雑になる

放置しているメリットがほとんどないため、できるだけ速やかに行いましょう。

相続登記を自分で行う場合のメリット・デメリット

メリットデメリット

一般論として、相続登記は自分で手続きすることが可能です。

そのため自分で相続登記にチャレンジしてみて、もし厳しいようであれば司法書士に頼む等も選択肢としてはありでしょう。

自分で収集した戸籍謄本等があれば、その分司法書士に支払う報酬も削減できるかと思います。

関連記事:相続登記を自分でする方法を司法書士が詳しく解説

自分で相続登記をするメリット

相続登記を自分で手続きする一番のメリットは、司法書士等に支払う報酬を節約出来る点です。

司法書士に依頼すれば報酬がかかりますので、手間と労力を天秤にかけて検討した方がいいかと思います。

ただし、登録免許税や戸籍謄本等収集費用の必要経費はご自身で手続きしても必ずかかります。

自分で相続登記をするデメリット

相続登記を自分で手続きするデメリットは、主に下記3つです。

手間がかかる

登記申請書や遺産分割協議書を作成する、戸籍謄本等を収集したり法務局へ登記申請する等、それなりの労力がかかります。

また登記申請できたとしても、間違いがあれば法務局から補正や取下げの連絡が平日日中に電話であり、一定の期間内に応じない場合には却下となるリスクもあります。

自分で手続きしようと途中まで準備したけれど、結果的に司法書士に依頼したという人も少なくありません。

登記識別情報通知の発行を希望しなかった

登記識別情報通知の発行を希望せずに相続登記が完了すると、昔の権利書(権利証)にあたる登記識別情報が発行されません。

相続した不動産を売却や担保に提供する場合等、登記識別情報が必要になる場面で代替手段の手続き(本人確認情報による登記等)をすることになり、結果的に相続登記を最初から司法書士に依頼していた方が安くついたという方もいます。

相続登記をする対象不動産を漏らした

被相続人が前面道路の私道を隣人と共有している場合や、マンションの共用部分の持分があり、相続登記をしなくてはならない対象不動産を漏らし、再度相続登記の手続きが必要になったというケースも多々あります。

相続登記漏れについては売却等の際に発覚することが多く、相続登記の際に合意していた相続人がすでに亡くなっていたということも少なくありません。

その場合には、遺産分割の当事者たる地位を相続人が引き継ぐため、亡くなった方の相続人全員と再度遺産分割協議をすることになり、手続きが難航する可能性が高いです。

このようなデメリットを考慮して、自分で手続きするか、司法書士に依頼するか検討しましょう。

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この記事の執筆者

司法書士 行政書士 樋口亨
司法書士 行政書士 樋口亨
東京司法書士会所属 登録番号7208号
東京都行政書士会所属 登録番号第19082417号
司法書士法人リーガル・ソリューション 代表司法書士
行政書士事務所リーガル・ソリューション 代表行政書士
前職の不動産仲介営業マン時代に司法書士試験合格。
都内の司法書士法人に転職し経験を積んだ後、司法書士法人リーガル・ソリューションを設立、同社代表社員就任。
開業以来、遺産相続、不動産登記手続き、不動産に関する紛争の解決(立ち退き、賃貸トラブル、共有物分割請求、時効取得等)に特化。
保有資格は、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、競売不動産取扱主任者。

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