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司法書士法人・行政書士事務所リーガル・ソリューションは、東京都新宿区にある司法書士・行政書士事務所です。

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相続登記を自分でする方法を司法書士が詳しく解説

更新日:2021-10-20
相続登記を自分で手続きする方法を詳しく知りたい
具体的に法務局へどのように提出するか知りたい
相続登記を自分で手続き出来そうだったら自分で行いたい

この記事はそのような方向けに書いています。

今回は、相続登記を自分で行う場合の基礎知識、専門家に依頼した方が良い場合や登記申請の流れを、司法書士の樋口が詳しく解説しています。

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相続登記の基礎知識

パソコンと初心者マーク

身近な人が亡くなったときは、各種の届出や解約・名義変更の手続きなど、やることが多くあります。

故人が不動産(土地、建物、家屋、マンション、山林、農地など)を持っていた場合には、登記の名義を相続人へと書き換える手続きを行います。

名義変更は、被相続人から相続人へ、「相続」や「遺贈」を原因として所有権移転登記を申請するという形で行い、この手続きを一般に「相続登記」と呼んでいます。

なお、「被相続人」は亡くなられた方のことを、「相続人」は被相続人の財産などを受け継ぐ権利がある人のことを指します。

相続登記の申請は、被相続人が持っていた不動産を管轄する法務局に対して行います。

本稿執筆時点では、申請に期限はなく、いつでも行うことができます。

そもそも登記の申請をすること自体が義務ではありませんので、手続きをしないことも可能です。

ただし、相続登記の手続きをしないと、相続関係が複雑になる、売却できないなどの不都合が生じます。

また、遅くとも2024年4月までには申請が義務化されますので、それ以後は、原則として、被相続人が亡くなった日から3年以内に相続登記の手続きをしなければなりません。

関連記事:相続登記が義務化|義務化された背景やその他の改正についても解説

3年の期間があれば、すぐに手続きに着手しなくても問題ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、例えば、相続財産が持ち家しかなく、物理的に遺産を分割できないというケースの中には、相続人の間で話がまとまるまでに時間がかかってしまう場合もあります。

登記名義人が亡くなったら、早めに相続登記の手続きをされることをお勧めします。

なお、相続は、被相続人の死亡によって開始するものですので、亡くなる前に「相続」を原因として名義変更の手続きをすることはできません。

相続対策として、生前の登記手続きを希望される方もいらっしゃいますが、この場合には、「贈与」「売買」などの事実に基づいて所有権移転登記を申請することになります。

相続登記について詳しく知りたい方は『相続登記とは?亡くなった人の不動産の名義変更について法改正点も含め解説』をご覧ください。

相続登記を専門家に依頼した方が良い場合

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登記の手続きは、専門家である司法書士が代理で行うことが多いですが、ご自身で申請をすることも可能です。

この場合には司法書士への報酬が発生しませんので、その分だけ登記にかかる費用を安くすることができます。

しかし、実際に手続きをされた方から、「思ったより手間がかかって大変だった」「自分でやろうとしたが途中で挫折した」というお話を耳にすることも少なくありません。

相続登記の難易度は様々で、費用をかけてでも専門家に依頼したほうが、スムーズに手続きが進められるケースも多くあります。

どちらかといえば簡単にできる場合と、そうではない場合の例をまとめましたので、ご自身で手続きをされるかどうか、判断の目安としてご活用ください。

比較的やりやすいケース 複雑になる可能性があるケース
・相続人が配偶者や子しかいないなど、相続関係がわかりやすい
・被相続人が、ほとんど本籍地を移していない
・相続人の数が多い
・相続人が兄弟姉妹や甥姪
・相続人の中に、被相続人より先に亡くなっている人がいる
・手続きをしないうちに、相続人も亡くなってしまった(数次相続)
長期間、登記手続きがされていない
・相続人の中に、海外に住んでいる人がいる
・不動産がいろいろな場所にある、個数が多い
・故人名義の不動産に抵当権が設定されている
・故人名義の不動産に根抵当権が設定されている
・相続分の譲渡が行われている

(スマホでは右にスクロールできます)

関連記事:抵当権付き不動産を相続したら?必要な手続きと具体的な流れを解説

関連記事:根抵当権がついている不動産を相続したら?必要な登記の手続きを解説

関連記事:中間省略できる?数次相続が発生している場合の相続登記について解説

関連記事:相続分の譲渡と相続登記|添付書類や第三者へ譲渡した場合についても解説

相続登記の流れ(手順)

stepと書かれた積み木

ここからは、相続登記を申請する手順を説明していきます。

  1. 亡くなった人の権利書(登記識別情報)を用意する
  2. 法務局(登記所)で登記簿謄本を取得する
  3. 市区町村役場で名寄帳を取得する
  4. 戸籍を収集し、相続人を確定する
  5. 法定相続人全員で家族会議をする
  6. 登記申請書を作成する
  7. 法務局に登記申請書等を提出する
  8. 登記完了後、登記識別情報通知等を受け取る

亡くなった人の不動産の権利書(登記識別情報)の用意

権利書は、原則として相続登記の申請の添付書類とはなりませんが、亡くなった方が持っていた不動産を調べる手がかりとして、非常に有益です。

平成17年3月以前に発行されていた権利書は、「登記済(権利)証」という表紙がついた冊子になっており、同じ時期に取得した物件がまとまって記載されていることが多いです。

権利書の様式は、平成17年3月から順次変更され、現在では「登記識別情報通知」というタイトルの紙になっています。

こちらは不動産ごと、名義人ごとに発行されますので、登記識別情報通知書の記載自体から、他の物件の存在を読み取ることはできません。

法務局(登記所)で登記簿謄本を取得

物件の把握ができたら、その不動産の登記簿謄本を取得します。

不動産の所有者が今も被相続人のままなのか、共有者はいないか、抵当権などの担保権が付いていないかなど、不動産の状態や権利関係を正確に知るためです。

権利書を紛失している場合など、すべての不動産を把握できていない可能性があるときは、同時に公図も取得することをお勧めします。公図の例

市区町村役場で名寄帳を取得

名寄帳とは、固定資産税の課税対象となっている不動産を、特定の所有者ごとに一覧表にしたもので、各自治体が作成します。

被相続人がその市区町村内に所有している不動産が、原則としてすべて記載されていますので、①②の過程で気付かなかった不動産も、この段階で発見できることが多いです。

①から③で不動産の調査を念入りに行うのは、相続登記漏れを防ぐためです。

ここで名義変更をすべき不動産を見落としてしまうと、一部の不動産だけ相続登記の手続きがされないまま残ってしまいます。

このような不動産の存在に気づくのは、売却など、相続した物件を処分する必要があるときであることが多いです。

もう一度手続きをやり直すには手間も費用もかかりますので、売却が遅れてしまう可能性もあります。

また、登記漏れを見つけるのが遅く、その間に相続人が亡くなっていたりすると、手続きはさらに煩雑になってしまいます。

戸籍を収集し、相続人を確定

不動産の特定が終わったら、次は戸籍を収集し、誰が相続人となるかを調べます。

相続人を確定させるためには、最低限、次の戸籍が必要になります。

  • 被相続人 出生から死亡まで、すべての戸籍・除籍・原戸籍謄本
  • 相続人 現在の戸籍謄(抄)本

戸籍は、本籍地がある市区町村の役所で取得します。

結婚や転籍などにより本籍を移している場合には、結婚前・転籍前の本籍地がある役所に対しても請求をしなければなりません。

本籍地が変わっていなくても、コンピュータ化などで戸籍が作り替えられることもありますので、出生から死亡まで集めると、通常は一人あたり2~5通くらいになります。

戸籍の請求権者は、自己・配偶者・父母や祖父母・子や孫など、いわゆる縦の関係にある人に限られており、それ以外の人のものを取得するためには、正当な理由が必要になります。

相続登記に使用することを説明すれば、通常は問題ないと思われますが、兄弟姉妹からの委任状が必要と言われたという話も聞きますので、詳細は各自治体にご確認ください。

戸籍を請求できる人

なお、相続人の正確な住所を知りたい場合には、戸籍と一緒に「戸籍の附票」という書類を取得すると、調べることができます。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍と併せて保管されている書類で、その戸籍に入っている間の住所の履歴が記載されています。

法定相続人全員で家族会議

相続人が確定したら、遺産をどのように分けるか、全員で家族会議をして決めます。

ここでいう「相続人」は法定相続人のことを指しますが、相続放棄をした人は含まれません。

相続放棄は、被相続人の財産や権利義務のすべてを引き継がないとすることができる制度で、この手続きを行うと、当初から相続人ではなかったという扱いになります。

法定相続

人が亡くなると、その人が持っていた財産や権利義務は、基本的には被相続人の家族や親族に引き継がれます。

誰がどのような割合で承継するかは民法で決められており、これより遺産を承継する権利があるとされた人を「法定相続人」といいます。

【法定相続人の範囲】

配偶者 常に相続人となる
血族相続人 次の順番で相続人となる
第一順位 子
第二順位 直系尊属(父母、祖父母など)
第三順位 兄弟姉妹

(スマホでは右にスクロールできます)

【法定相続分の割合】

相続人 割合
配偶者と子 配偶者1/2  子1/2
配偶者と直系尊属 配偶者2/3  直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4  兄弟姉妹1/4

(スマホでは右にスクロールできます)

※被相続人が昭和56年1月1日以降に死亡した場合
法定相続分の割合
法律で決められているからといって、必ずしも法定相続分で承継しなければならないわけではありません。

被相続人が遺言書を残していた場合や、相続人が遺産分割協議を行った場合には、それに従って財産が引き継がれます。

これらの行為がない場合に初めて、法定相続の規定のとおりに相続をすることになります。

関連記事:法定相続分による相続登記の流れ|保存行為で単独申請する場合についても解説

遺産分割

法定相続人全員(相続放棄をした人を除く)で、遺産をどのように分けるかを決める話し合いのことを、遺産分割協議といいます。

話がまとまったら、遺産分割協議書という書面を作成します。

合意自体は口頭でも有効に成立しますが、その内容を書面で残しておいたほうが、のちに争いが起こるのを防ぐことができるためです。

特に決まった書式はありませんが、被相続人や相続人、誰がどの財産を取得するかなどが明確に特定されており、相続人全員が合意したことがわかる内容になっていることが必要です。

なお、法定の課税文書ではありませんので、印紙を貼る必要はありません。

遺産分割協議書例

法務局や税務署、銀行などでの手続きの際には、遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書つき)の提出を求められることも少なくありません。

協議書を作成するときは、実印を押し、併せて印鑑証明書も用意しておくと手続きがスムーズに進められます。

関連記事:やり直し出来る?遺産分割による相続登記(不動産の名義変更)について解説

遺言書

遺言書がある場合には、基本的にはその内容に従って財産を分けます。

ただし、遺言者が禁止していない場合には、相続人全員の合意によって、遺言内容とは違う分け方をすることもできます。

遺言書にはいくつかの種類がありますが、自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかで作成されることが多いと思われます。

遺言書がある場合には、相続登記に関しては、添付する戸籍の通数が通常よりも少なくなります。

ただし、前提となる検認手続きや遺言書の内容の確認のために、通常どおり、被相続人の出生から死亡までの戸籍などが必要になる場合があります。

㋐自筆証書遺言
(自宅等で保管)
㋑自筆証書遺言
(法務局で保管)
㋒公正証書遺言
相続開始の通知 なし 事前に被相続人が指定した1名
に限り、遺言書が保管されている
旨が通知される
なし
検認 必要 不要 不要
遺言の内容の確認など※ 遺言者の最後の住所地を管轄する
家庭裁判所で、検認手続きが必要
【遺言書があるかどうかの確認】
→遺言書を保管している法務局
であれば、全国どこでも請求可能
【遺言書の内容の確認】
→遺言書を保管している法務局
であれば、全国どこでも請求可能
【遺言書があるかどうかの確認】
→遺言検索システムで照会
全国どの公証役場でも利用可能
【遺言書の内容の確認】
→遺言書を作成した公証役場
に対し、閲覧や謄本を請求
上記の手続きで必要な戸籍※ ・被相続人の、出生から死亡まで
すべての戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本(抄本)
【遺言書があるかどうかの確認】
・被相続人の死亡の記載がある
戸籍(除籍)謄本
・請求する相続人の戸籍謄本
(抄本)
【遺言書の内容の確認】
・被相続人の、出生から死亡まで
すべての戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本(抄本)
【遺言書があるかどうかの確認】
【遺言書の内容の確認】
・被相続人の死亡の記載がある
戸籍(除籍)謄本
・閲覧等を請求する相続人の
戸籍謄本(抄本)
登記申請時に必要な戸籍 ・被相続人の死亡の記載がある
戸籍(除籍)謄本
・遺言により財産を取得する
相続人の戸籍謄本(抄本)
※被相続人の死亡後に取得したもの
・被相続人の死亡の記載がある
戸籍(除籍)謄本
・遺言により財産を取得する
相続人の戸籍謄本(抄本)
※被相続人の死亡後に取得したもの
・被相続人の死亡の記載がある
戸籍(除籍)謄本
・遺言により財産を取得する
相続人の戸籍謄本(抄本)
※被相続人の死亡後に取得したもの

(スマホでは右にスクロールできます)

※詳細な手続きや必要書類については、㋑は法務省のホームページに、㋒は各公証役場のホームページに、それぞれ掲載されています。
出典:㋑自筆証書遺言書保管制度
出典:㋒公正証書遺言

関連記事:遺言書がある場合の相続登記について|必要書類や遺言執行者がいる場合は?

登記申請書の作成

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必要な書類がすべてそろったら、登記の申請書を作成します。

申請書のひな形や記載例は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

(申請書の一例)

登記申請書例

①登記の目的

被相続人が不動産を単独で所有していた場合には「所有権移転」、共有していた場合には「□□持分全部移転」と記載します。

関連記事:共有持分を相続した場合の相続登記|計算方法や相続人が不存在の場合も解説

②原因

原因日付は、被相続人が亡くなった日です。

③相続人

被相続人の氏名と、相続人の住所・氏名を記載し、印鑑(認印でもよい)を押します。

共有で取得する場合には、各人の持分も記載します。

【具体例】
〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 持分2分の1 〇〇
〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 持分2分の1 △△

④添付情報

次の項で詳しく説明します。

⑤日付

実際に申請書を提出する日を記載します。

郵送で提出する場合には、書類が法務局に着いた日が申請日となりますが、発送の時点では到着日がわかりませんので、空欄にしておいても問題ありません。

⑥法務局

提出先は、対象不動産の所在地を管轄する法務局です。

⑦課税価格

登記を申請する年度の固定資産評価額を記載します(1,000円未満切り捨て)。

⑧登録免許税

登記の際に課税される税金で、申請時に収入印紙で納付します。

相続による所有権移転登記の場合には、(⑦の課税価格)×0.4%が登録免許税額となります(100円未満切り捨て)。

⑨不動産の表示

対象不動産の表示を、登記簿謄本のとおりに記載します。

申請書の準備ができたら、⑧で記載した登録免許税額分の収入印紙を購入します。

郵便局のほか、法務局でも購入できることが多いですが、印紙売り場が併設されていない場合もありますのでご注意ください。

購入した収入印紙は、申請書とは別の用紙に貼ります。

貼る位置は特に決まっていませんが、やや右側に寄せておくと、法務局の担当者が消印をしやすいようです。

なお、誤って多く貼ってしまった場合、貼り直しをすることは難しいですが、還付手続きをすることで、後日、超過分の金額を返金してもらうことができます。

申請書と印紙台紙は一つにまとめ、申請書に押したものと同じ印鑑で契印をします。

収入印紙の貼り方

ここで説明した申請書の書き方や収入印紙の貼り方は、法務局の窓口や郵送で書類を提出する場合のものです。

オンライン申請を自分で行いたいという方は、法務局のホームページに説明がありますので、そちらをご参照ください。

必要書類の用意

申請書と一緒に、添付情報として以下の書類を提出します。

申請書に記載されている「登記原因証明情報」の具体的なものが㋐㋑㋒㋕㋖㋗、住所証明情報が㋓になります。

必ず添付する書類 事案によっては添付が必要になる書類
㋐被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本
※出生から死亡までのものすべて
㋑相続人全員の戸籍謄本(抄本)
※現在のもの
㋒被相続人の除籍附票 または
住民票除票
㋓新しく登記名義人となる人の住民票
㋔固定資産評価額がわかる書類
㋕遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
㋖遺言書
㋗登記済(権利)証または登記識別情報通知書

(スマホでは右にスクロールできます)

㋐㋑戸籍

㋖遺言書がある場合、登記手続きに関しては、次の戸籍謄本があれば足ります。

  • 被相続人がなくなったことがわかる戸籍(除籍)
  • 遺言により財産を取得する相続人の戸籍

㋒被相続人の除籍附票または住民票除票

被相続人の最後の住所を証明するために添付します。

最後の住所と登記簿上の住所とが違っており、その間の履歴のつながりもつけることができない場合には、代わりの書類として、㋗登記済(権利)証(登記識別情報通知書)が必要になることがあります。

㋓新しく登記名義人となる人の住民票

登記簿には、新しい登記名義人の住所と氏名が記録されますので、これを証明するために添付します。

住民票のほか、戸籍の附票や印鑑証明書でも問題ありません。

㋔固定資産評価額がわかる書類

申請書に記載する課税価格や登録免許税の計算の根拠として添付するもので、評価証明書、課税明細書、名寄帳などを提出します。

被相続人が亡くなった年のものではなく、登記を申請する年度のものが必要です。

㋕遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書

印鑑証明書の有効期限はありません。

㋖遺言書

法務局で保管されていない自筆証書遺言の場合には、検認済証明書も必要になります。

相続関係説明図

また、提出が義務づけられているわけではありませんが、一般的には「相続関係説明図」という書類も添付します。

相続関係説明図とは、誰が相続人なのか、被相続人とどのような関係にあるのか、などを簡単な図にしたものです。

法務局のホームページにもひな型が掲載されていますが、特に決まった書き方はなく、手書きで作成したものでも問題ありません。

(相続関係説明図の例)

相続関係説明図例

法務局(登記所)へ登記申請書等の提出

登記を申請する方法としては、次の3つがあります。

①法務局の窓口に行って提出する
②申請書と添付書類を郵送する
③オンライン(インターネット)で申請する

③の方法で行う場合には、申請できる環境を整えるだけでも、専用ソフトのダウンロードやICカードリーダライタの準備などの作業が必要になります。

ご自身で申請されるときは、①か②のどちらかの方法がやりやすいかと思います。

申請の際には、申請書と一緒に、添付書類の原本も提出しなければなりません。

しかし、戸籍や遺産分割協議書などは、相続登記だけでなく、相続税の申告や預貯金口座の解約などの手続きでも使用する書類です。

関連記事:放置してもかかる?相続登記(不動産の名義変更)と相続税について解説

このような書類を何通も取得したり作成したりするのは大変ですので、原本還付といわれる手続きをするのが一般的です。

書類のコピーを取り、「原本に相違ない」旨を記載したうえで署名押印をして添付すると、登記の完了後に原本が返却されます。

ただし、戸籍については、相続関係説明図を添付すると、コピーをつけなくても、原本一式を返してもらうことができます。

(原本還付のやり方)

原本還付のやり方

(申請書、添付書類の綴じ方)

申請書、添付書類の綴じ方

登記完了後、完了書類の受け取り

相続登記を申請してから審査が完了するまでにかかる日数は、管轄の法務局によって異なりますが、概ね10日から2週間程度です。

具体的な完了予定日は、各法務局の窓口やホームページで確認することができます。

登記が完了したら、法務局の窓口で次の書類を受け取ります。

  • 登記識別情報通知書
  • 登記完了証
  • 原本還付を希望した書類

郵送で受け取ることもできますが、この場合には、事前に送付を希望する旨を申請書に記載し、返信用封筒を提出しておく必要があります。

最初のほうでも触れましたが、登記識別情報通知書は、いわゆる権利書にあたるものです。

相続した物件を売却したい場合や、担保に入れて融資を受けたい場合などに必要となる書類で、再発行もされませんので、大切に保管しておいてください。

登記完了証も再発行はされませんが、登記の審査が終わったというお知らせですので、登記識別情報通知書ほど大事な書類ではありません。

相続登記を自分でやった人はいる?

diy

相続登記を自分で手続きした方を一定数見てきました。

最後に、実際にあった事例をもとに、ご自身で手続きをされる場合に特に注意すべき点を説明します。

ケース① 登記識別情報が発行されない

Aが亡くなり、A名義の不動産は相続人BCDが法定相続分どおりに取得することになった。
登記の申請は、Bが代表して手続きをした。

登記識別情報は、登記を申請すれば毎回出てくるというものではなく、新しく登記名義人になる人が申請をした場合にのみ通知されます。

今回のケースでは、名義人となるのがBCD、申請人がBですので、そのままではCDの登記識別情報が通知されません。

CDの分も発行してほしいときには、Bに対し、申請手続きや登記識別情報通知書の受取りを委任しておく必要があります。

登記識別情報の不発行

ケース② 登記漏れ

戸建てを所有していたAが死亡した。
固定資産税の課税明細書には、自宅の土地1筆と建物1棟が記載されていたため、この二つの物件についてのみ相続登記の申請をした。
後日、この不動産の売却を不動産仲介業者に依頼したところ、自宅前の私道がAの名義のままになっていることが判明した。

戸建ての場合には、建物と底地部分の土地以外に、私道やごみ置き場などにも所有権・共有持分を持っている可能性があります。

これらの土地が非課税になっていると、固定資産税の課税明細書には記載されませんので、相続人が知らなければ、見落としてしまう可能性があります。

私道は自宅に接していることが多く、併せて公図の調査などを行えば発見できる可能性が高いですが、ごみ置き場などは少し離れたところにある場合もあります。

最初のところで説明したように、権利書、謄本・公図、名寄帳などを組み合わせて調査することをお勧めします。

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この記事の執筆者

司法書士 行政書士 樋口亨
司法書士 行政書士 樋口亨
東京司法書士会所属 登録番号7208号
東京都行政書士会所属 登録番号第19082417号
司法書士法人リーガル・ソリューション 代表司法書士
行政書士事務所リーガル・ソリューション 代表行政書士
前職の不動産仲介営業マン時代に司法書士試験合格。
都内の司法書士法人に転職し経験を積んだ後、司法書士法人リーガル・ソリューションを設立、同社代表社員就任。
開業以来、遺産相続、不動産登記手続き、不動産に関する紛争の解決(立ち退き、賃貸トラブル、共有物分割請求、時効取得等)に特化。
保有資格は、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、競売不動産取扱主任者。

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