相続人の不存在とは?
相続人不存在とは、被相続人が死亡した場合に、相続人がいるかどうか明らかでないときのことをいいます。
亡くなった相続人に、独身で兄弟姉妹もいない、両親は既に他界している場合で、戸籍上の相続人が1人もいないケースは少なからずあると思います。
このようなケースを ”相続人の不存在” といい、
遭遇することはあまり多くはないと思いますが、被相続人の財産はどのような手続を経て、誰に最終的に帰属するかをまとめていきます。
相続人が不存在になるケース
①法定相続人が1人もいない場合
被相続人が亡くなった場合に、遺言によって遺産分割方法の指定や遺産分割の協議がされていないときは、
法定相続分によって相続財産は、分配されます。
しかし、民法で規定されている法定相続人(配偶者、子、直系尊属(父母)及び兄弟姉妹)が全くいない場合は、相続人の不存在に該当します。
②最終の相続人に、相続放棄、相続欠格、推定相続人の廃除によって相続権を失った場合
相続人がいる場合でも、「相続放棄」「相続欠格」「推定相続人の廃除」により相続権を失うことがあります。
この上記の事情が ”最終の相続人” に該当すると相続人の不存在になります。
・ 相続放棄
・ 相続欠格
・ 推定相続人の廃除
※ 遺言者に相続人は存在しないが、相続財産全部の ”包括受遺者” が存在する場合は、相続人の不存在に該当しません。
※ 相続人が行方不明(消息不明、生死不明など)の場合は、相続人の不存在には該当せず、この場合の財産管理は、不在者の財産管理または失踪宣告の規定により処理されます。
相続人が不存在になったら?
民法第951条
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
とあります。
これを ”相続財産法人” といいます。
被相続人の相続財産に法人格を与えることになるのです。
しかし、相続財産自身には、意思表示をすることはできないことから、相続財産法人を管理する人(自然人)を決めることになります。
相続財産法人を管理する人を、 ”相続財産管理人” といいます。
相続財産管理人は、利害関係人または検察官が家庭裁判所に請求することによって、選任されます。
実際においては、被相続人に相続財産がほとんどなく、相続人もいない場合は、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求することは、ほとんどありません。
多いケースは、法定相続人に該当しない、従兄弟・従姉妹が、被相続人の葬儀を執り行い、その後に家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求する場合です。
相続人の不存在の手続の流れ
相続人のあることが明らかではない。 |
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利害関係人または検察官が家庭裁判所に相続財産の管理人の選任をするように請求する。 |
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家庭裁判所が相続財産の管理人を選任し、相続財産の管理人の選任の公告をする。 |
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公告後、2か月経っても相続人がいることが明らかとならない。 |
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相続財産の管理人が、全ての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間(2か月以上の期間を定める)内に債権請求の申出をすべき旨を公告する。 |
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期間満了後、相続財産の管理人は、相続財産をもって、上記期間内に債権請求の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済する。 |
⇩
相続財産の管理人が、相続債権者に対する弁済が終了した後、受遺者に弁済する。 |
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家庭裁判所が、相続財産の管理人等の請求により、相続人捜索の公告(6か月以上の期間を定める)をする。 |
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相続人が現れない場合、特別縁故者への分与。 |
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最後に財産が残った場合は、国庫に帰属する |
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